頂いていたリクエスト第6弾

「腹殴られて悶絶」

実は以前出した拘束CG集のボツ案だったのを描き起こしたのでSSもあったりします

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-ギギィィーッ-

古く錆び付いた扉を開けて大柄の男が牢内入ってきた。
拷問吏と思われるその男は珍しく手には何も持っていなかった。

コレまで数人の拷問吏がオレから仲間の、アジトの場所を聞き出す為にやってきた。
彼らは大概、相手に恐怖を与えるような禍々しい造りの拷問器具を持ち、
意志の弱いものならそれらを見ただけで観念し、白状してしまうだろう。
しかし、その男はソレらしいものを一切持たず、逆に不気味さを引き立てていた

男は一歩、また一歩と近づきオレの手前で立ち止まり
感情のない虚ろな瞳でオレを見据えていた。

「少年。素直に吐いた方が身の為だ。」

男は、低く篭った声で警告してきたが
オレはそっぽを向き”何も話す事はない”そんな意思を示した。
男はオレの反応を予想していたように次の言葉を続けた

「喋りたくなったら喋れ。自分はそれまで痛みを与え続けるだけだ。」

そう言い放った直後、男は左足を一歩踏み込み右腕繰り出した。
鈍い音と共に鳩尾に男の右腕が深く突き刺さる。

「ガハッ！」

押し出されるように、唾液と空気が口から吐き出され苦悶に顔が歪む。
同時に足の力が抜け、カクンっと膝から崩れ落ちそうになったが、
両手首に繋がれた鎖がそうはさせてくれなかった。
ぶら下がるように倒れかかったオレの全体重が手首にかかり、
手枷が深く食い込みじわりと血が滲む。

「カハッ、カハッ」

呼吸困難に陥り、唾液混じりの咳を数回繰り返し呼吸を整えた後
オレは鎖を手繰りなんとか自分の足で立ちあがった。
打たれた腹が鈍く疼き、何かが喉元まで上がってきて今にも吐いてしまいそうだ。
肩で上下させハァハァと大きく呼吸をしやり過ごす。

その様子を男は何事も無かったかのように眉一つ動かさず平然と見下ろしていた。
今まで来た拷問吏なら、最初に一撃を加えた後『話す気になったか』などと
改めて尋問してくるものだが、この男はそんな事もなく、二撃目を繰り出してきた。
オレはとっさに腹に力を込め歯を食いしばり二撃目を備えた。

-ドフッ-

鈍い音と共に先程と変わらない重い一撃がオレの鳩尾に深々と突き刺さる。
しかし先程と違い、そのまま壁に押し付けられるように打たれ、オレは男の拳と壁に挟まれる形になり、
構えていたとは言えダメージは先ほどの比ではなかった。しかし、今度は倒れなかった。
全身に力を込め二撃目に耐えたオレの様子を見て男は間髪居れず次の一撃を繰り出していた。

「ゴハッ、ガハッカハッ！」

連続する痛みに耐え兼ねたオレは、とうとうこみ上げて来たものを吐き出し、激しく咳き込んだ。
捕まって数日ろくに食物を口にしていないオレの胃の中には胃液しかもう残っていなかったようだ。
油汗が滲み出し、頬を伝い顎から滴り落ちていく。男はオレが咳き込むのを止めると、再び殴り始めた。

オレはドスッドスッとサンドバッグの様にただひたすら男の拳に耐え、
その度に腕に繋がれた鎖がジャラジャラと甲高い音を立てる。
暫く牢内に鈍い打撃音と軋む鎖の音、そしてオレの咳き込む音と呻き声だけが響いていた。
男は最初に言い放った通り、聞きだすような事はせず、ひたすら殴るだけだった。

一発、また一発と腹に受ける度、吐き出す胃液に赤い物が混じり始め、オレの意識は途切れた。


■1：kanabun　2010/12/31 21:49


■2：大輔　2011/01/09 23:40


■3：kanabun　2011/01/22 18:18


■4：大輔　2011/01/25 21:14